2008年6月18日水曜日

アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶

週末、何気なく手に取ったDVD。
去年、東京国立近代美術館以来の対面になる。(写真に納まる決定的瞬間

内容は、あまり人前で語らないアンリと関係者が語るドキュメンタリー。
言葉少なげに、でもとても嬉しそうに写真を説明するアンリの表情が心に残る作品だ。

瞬間の記憶という副題からも分かると思うが、
映像の中でアンリは「写真は瞬間の芸術だ」と説明をする。
更に、実際に写真を取るときの瞬間について「その瞬間を選ぶ楽しさ いいぞ まだだ よし 今だ!」と説明する姿から、過去から未来へ続く時間の流れを、どのタイミングで写真におさめるか、とても楽しんでいるのが伝わってきた。

また、写真の内容については、
「構図が正しければトリミングは必要ない 疑う視線とあとは表現のセンスだ 人はあれこれと考えた末―考えすぎてしまう」
「方針や法則などない 勘かな」と事もなげに説明。

アンリに、方針や法則が無いとは思わないが、最後は自分が持っている感性なのだろう。
写真を見て刺激を受けるのも感性なら、その瞬間をとらえて写真に収めるのも感性が必要だということだ。
そのためには、「疑う視線」がポイント。何気ない現実も「疑う視線」で見ると見えないものが目に入ってくる。
納得である。

ちなみに、ジャコメッティとドガの「疑う視線」について、アンリが高く評価していたので、彼らの絵画を色々と見てまわりたいと思う。

最後に、アンリがシュルレアリスムに影響を受けている時代に撮影した写真を一枚。
一度見たら、ストーリーが心に残る一枚である。