2008年1月17日木曜日

熊谷守一美術館

日経BP社が出版している「ほんものの日本人」を読んだとき、鮮烈なイメージで一人の画家が脳裏に刻み込まれた。
その名は、熊谷守一氏
※文章抜粋※
そうまでしてたどりついたのが、守一の場合は「結局は何も描かない。白いキャンバスが一番美しい」という境地だった。画家が絵を描かないとは、人が呼吸を止めてしまうというぐらいの、切実で滑稽な到達だ。それでも、白いキャンバスがあれば、やはり画家はそれを汚してしまう。それが人間の情けなさなのだ、と守一は言う。

あまりに強烈で、あまりに純粋で、あまりに正直なその考えに自分の脳で、心で感情が消化しきれない状態になってしまった。

そのため、豊島区にある熊谷守一美術館を訪問。
1,2階が展示室で3階がギャラリーになっている。
飾られているのは、油採、墨絵・書など。

全体的に物事をシンプルに、単純に捉えていこうと思われたのか、晩年の作品になるにつれ「線と面で色を平ぬりする画法」に移り変わっているのが面白い。
勝手な想像だが、自分の考えとは裏腹に心の安穏を捜し求めたのかもしれない。。。

心を落ち着かせる存在、そんな絵が並べられているよう見えた。
絵を見ると、落ち着いて自分自身を見直せる、そんな気がしてきたのかもしれない。

特に好きな作品は3つ
油採の2作品、「縁側」「雨滴」と、墨絵・書の1作品「唯我独尊」(残念ながら画像が見つからず) 。

「人生、どのように時間を紡ぐかは本人の自由である。
だからこそ、大切にしなければならない。」
美術館を離れるときそんな言葉が自然と頭に浮かんできた。